次回ガレージ・ゼミ 村尾忠廣先生

日本のわらべ唄の音階理論
  ——小泉vs.柴田vs.東川理論の急所を押さえ,わらべ唄伴奏和声と和洋折衷旋律を創作する試み

講師:村尾忠廣先生
日時:2018年2月24日(土)16時

場所:ガレージ・スタジオ(渋谷区本町)
申込:tsubonou@fc.jwu.ac.jp

村尾先生からのメッセージ
「ずいずいずっころばし」は,いったいどういう音階でできているのでしょう。「ミファラシドミ」という陰音階で始まりますが,あきらかにミは主音,中心音ではなく,旋律の動き,終止音から言ってシば中心です。とすると,音階の中ほどに主音がきますから,変格シ旋法といことになります。しかし,途中,このシは陽音階の中心音を保守しながら陽音階へと転旋法いたします。洋楽の同主調のように,ファとドの音は#となるわけです。これは単純に陰から陽への転旋法のためというだけの意味にとどまりません。日本音楽の特質であるテトラコルド(完全四度)をつくとうとすると,陰音階のシーファが増4になりますから,転旋法というのではなくとも,ファは#にしなければなりません。転旋法が嫌であれば,ミまで下がってシーミのペンタコルドをつくります。「うさぎ,うさぎ」のようにファからはじまったり,ミから始まったり,さらにはファ#から始まったりすのは,そのためです。これらは,根本的な構造が違うわけではないのでは——柴田南雄が小泉理論に疑問を投げかけたきっかけです。今日の私の話のねらいは,日本音楽,とりわけ,わらべ唄の音階理論の急所を押さえ,それによって,様式と違和感のない伴奏和声,さらには明治以来の課題であった<和洋折衷>旋律を実際に創ることへと応用してみよう,ということにあります。ぜひ,楽しみにご参会ください。